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地面がゆれるそのわけは?

食卓にある箸を両手で曲げるとやがてポキンと音を立てて割れてしまいますね。同じように、私たちの足元の大地も力をくわえ続けると、変形しこわれてしまうのです。このとき、周りに伝わる振動が地震こわれてずれ動いた場所を断層といいます。

大地に力が加わるのは、地球の表面を覆っているプレート同士が互いに押し合うためです。
地震の起こり方には、直下型地震と海溝型地震の2通りあります。

直下型地震

直下型地震は、私たちが暮らしている大地の直下の浅いところで、断層がずれ動くことによって起こる地震です。この一度ずれ動いた断層は、数千から数万年位経つとまたずれ動く可能性があります。

このように、断層の中でもくり返しずれ動く可能性がある断層を活断層といいます。

直下型地震の震源は浅いので、地震に伴う地盤のずれが地表にまで現れることがあります。

海溝型地震

海溝型地震は、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいる海溝近くで起こる地震です。北海道の近くで海溝型地震が発生する場所として、三陸沖、十勝沖、根室沖などが知られています。

海溝型地震は、数十年から数百年ごとに同じ場所で繰り返し発生することが判っています。このように同じ場所で規則的に発生を繰り返すのは、沈み込むプレートの表面は一様ではなく、沈み込まずに引っかかる部分(アスペリティ)があり、それが外れたときに海溝型地震を起こすためであると考えられています。

2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震では、一つのアスペリテイが外れ、それが引き金となって近隣のアスペリテイも相次いで外れて巨大な地震となっていしまいました。これは連動型地震と呼ばれています。
北海道太平洋沿岸では400-500年ごとに十勝沖と根室沖などを含む連動型地震が起こってきたと考えられています。最新の発生は17世紀頃だったと推定されています。

海溝型地震では、津波が発生しやすいことがわかっています。
海溝型地震は、直下型地震よりも規模が大きいので被害が発生する範囲も広くなります。

海溝型地震のモデル図

地震が発生すると、平野部において地下水を含んだ地面が液体のようなふるまいをする液状化現象が起こることがあります。
液状化現象が起こると、地面がベチャベチャな沼地のような状態になって建物が傾いたり、軽いマンホールが浮き上がったり、地面が割れて泥水が噴き出す噴砂現象が起こったりします。

1990年ルソン島北部地震で地盤の液状化現象により傾いた建物
2003年十勝沖地震で十勝港で地盤の液状化により起こった噴砂現象

地震の後は津波にご用心!?

地震が起きて海底の地形が急に変わると、海水が急に移動するために津波が発生します。

海岸に押し寄せてきた津波はふだん海岸に打ち寄せる波と違って、一つの波が非常に大きいので、見渡す限り海面が盛り上がったような状況になります。この巨大な波は勢いがあるため、津波の高さよりも高い場所にある陸地内部まで海水が侵入します(遡上高)。このとき、津波が川をさかのぼることもあります。

陸上に侵入した津波は、木造家屋を破壊し車や人を巻き込みます。特に海水が引き去る時は、侵入した時より早いスピードで壊れた建物などを流し去るので、非常に危険です。

津波には以下のような特徴があります。

  • 何時間もの間に繰り返しやってくるのが普通であり、最初の津波が最大とは限らない
  • 津波発生時に海水が岸から引くことがあるが、いつも海水が引くとは限らない
  • チリ地震津波のように、日本で地震を感じることがない遠方から伝わってくる津波もある

2011年3月に東北地方の太平洋沿岸を襲った大津波では3階建の建物の屋上まで津波が襲った場所もありました。

津波警報がでたら速やかに避難し、警報が解除されるまで避難を続けましょう。避難場所は、高台やビルの3階以上など、出来る限り高い場所が安全です。

津波が起きてから、陸地にやってくるまでのしくみ

ゆれたその時なにをする?

地震はいつ起こるか予測しにくい災害です。そのため、『突然、地震が起こったら何をするか』を、日頃から考えておく必要があります。

強い地震を感じたら、まず身の安全を確保することを一番に考えてください。大きな揺れはたいてい1分以内で収まります(ごく稀に数分続く巨大な地震もあります)。強い地震の揺れが収まったら、余震による家屋の倒壊に巻き込まれないよう周りを確認しながら落ち着いて屋外に逃げましょう。その後、隣近所で声を掛け合って安否を確認することも忘れないでください。

  • 避難するときは、火災発生に備えて電気のブレーカーを落としましょう。
  • 避難の際の荷物は、貴重品や毎日飲んでいる薬、飲み水など最小限にしましょう。
  • 冬場の避難の際には、長時間外にいても大丈夫なように暖かい服装で外にでましょう。
  • 市街地では交通渋滞を引き起こすので、車での避難はさけて下さい。

地震が起きたときに、あなたはどこにいるでしょうか?
自分の家の中?デパートの中?それとも、散歩中?

ここでは、様々な場面で地震がおきたときの対処法を説明します。

建物の中

家や職場のオフィスでは、家具や天井の下敷きになったり、落下物の直撃を受けないように、机の下にもぐるなど丈夫なもので体の安全を確保しましょう。デパートなどの店内では、頭を保護しながら倒れやすそうなものから離れてください。

揺れている最中に、無理に火を消そうとしたり、あわてて2階から下に降りたり、屋外に飛び出したりするのはかえって危険です。揺れが収まってから、ただちに火の元の安全を確認し、余震に備えて玄関の扉を開けるなど避難路を確保してください。このとき、ガラスなどが飛散していてけがをする恐れがあります。そのため、室内を移動するときは靴かスリッパをはきましょう。

電気が通じていたらテレビかラジオで地震や津波の情報を得ましょう。

屋外

屋外で地震にあったら、まずビルの直下から離れて落下物の直撃を受けないようにしましょう。また、ブロック塀や自動販売機の近くにいると、転倒して下敷きになる恐れがあるのでただちに離れてください。

車の運転中

車を運転中に地震を感じたら、あわてず徐々に速度を落とし、左に寄せてエンジンを切りましょう。揺れがおさまるまで、車から出ないでください。揺れがおさまったら、カーラジオをつけて地震情報を確認してください。車から離れるときはドアのロックはせずに、車に携帯などの連絡先のメモとキーは残しましょう。

電車やバスの中

電車やバスに乗っているときは、急停止する可能性があるので、座席やつり革にしっかりつかまりましょう。揺れがおさまってもあわてて外に出てはいけません。乗務員の指示に従って、おちついて行動してください。

エレベーターの中

エレベーターに乗っている時は、全ての階のボタンを押して止まった階で外にでましょう。エレベーターに閉じこめられてもあわてずに、中にある連絡電話を使って救助を待ちましょう。

海や崖の近く

海岸近くでは、津波におそわれる可能性があります。地震を感じて揺れがおさまったら、すぐに高台や丈夫なビルの3階以上など、出来る限り高いところに避難しましょう。

崖の方で異常な音がするときは、崖崩れに備えて直ちに避難しましょう。

地震の備えは日ごろから!

地震の発生によりライフラインが止まった時、生き延びるためには火がなくても食べることが出来る食料や飲み水の備蓄が欠かせません。救援体制が整うまで3日位位は自力でしのげるように備えるとよいとされています。また、電源がなくても情報や明りが得られるように携帯ラジオや手回しの充電器があると便利です。携帯電話の充電端子も含めて全てが一体化された製品も販売されています。

そのような備蓄品も含めて日頃からどのような準備をすればいいか、もう少しくわしく見てみましょう。

備蓄品を用意する

備蓄品として、飲み水、クッキー、缶詰、プラスチックのコップや皿、ラップ、割り箸、キッチンペーパーなど、1人3日分(飲み水は1人1日3リットル)用意するとよいでしょう。ラップは、お皿にかけて使うと、お皿を洗うことなく使い続けることができて便利です。

夜寝るときは、枕元にはスリッパや懐中電灯、携帯ラジオを備えましょう。

家具などを固定する

家やオフィスでは、重い家具や冷蔵庫・コピー機などを固定して、地震が起こった時に転倒したり移動したりするのを防ぎましょう。固定用具を壁や天井に取り付ける際には、壁の内部の桟にしっかりと取り付ける必要があります。下の写真のような固定用具は、日曜大工ショップで売られています。

寝室では、寝床の上に家具が倒れこまないような配置にしましょう。外に出られなくなるような家具の配置もさけましょう。

揺れに強い家に住む

古い家屋はゆれに弱いので、筋交いなどの耐震補強をすると安全性が高まり安心です。

最近見かけるようになってきた高層ビルは耐震設計がされていますが、平野部の軟弱な地盤のところで増幅される長い周期の揺れを吸収しきれないことが判ってきました。そのため、建物が破損しなくても室内の固定されていないものが動き回り、重大な被害がでることが懸念されています。

主要都市にある防災センターでは地震や津波、火災への備えの展示や、体験学習を行っています。一度見学してみることをお勧めします。

地震速報が生死をわける?

強い地震が発生すると、被害が懸念される地域に向けて気象庁は緊急地震速報を出すようになりました。オフィス向けには、緊急地震速報の受信装置も販売されています。テレビやラジオにも自動的に情報が流れます。

最近、携帯電話各社は、気象庁が出す緊急地震速報などを、携帯電話に無料でメールするサービスを開始しはじめています。これによって、わたしたちは外出先でも災害情報を得ることができるようになってきました。また、市町村などの自治体の中には、携帯電話会社と契約して独自の災害情報をメールで伝えているところもあります。あなたのまちで、このようなサービスを行っているか調べてみてはどうでしょうか。

コラム「津波は逃げろ」

環境防災研究機構北海道 理事
中村 興一

三陸地方では、津波のことを大きな地震を伴う場合は「ツナミ」、比較的地震が小さな場合は「ヨダ」、と区別して呼ぶ人もいる。1960年のチリ沖地震津波では、地球の裏側で発生した地震による津波が、地震発生から24時間ほどたってから三陸地方を中心として日本を襲った。これも「ヨダ」と云うのだろうか?

私の生まれ育った所は、この三陸海岸の小さな漁村である。ここは、明治29年6月15日と昭和8年3月3日の大きな津波を経験している所である。明治29年の津波では、体感震度が小さく、旧暦の端午の節句でお祝い中の家庭も多かったことから、多くの人が犠牲となっている。昭和8年の津波は、大きな地震を伴い、それにビックリした母や叔父は、素足で小高い山中に逃げたと聞いている。この津波は私の祖母の心に大きな爪跡を残したようだ。乳飲み子を背負い、幼子を両手につないで高台に逃げる途中、近道をして背丈ほどの石垣を登るため二人の幼子を石垣の上に押し上げ、自分もそこを登ろうとした。しかし、祖母は背中の子供もろとも津波に呑み込まれてしまった。幸いにも、津波の第2波で祖母は岸に打上げられ、材木の下から救出されたが、1ヵ月ほどの大怪我を負った。乳飲み子は背にはいなかった。

こんな経験から、私が小さな頃は、食事時であろうが、寝ていようが、どんなに小さな地震でも、祖母は私の手を強引に引いて高台目指して逃げた。避難ではなく、逃げた。

1993年1月15日の釧路沖地震は、道東を中心に大きな被害をもたらしたが、札幌でも大きな揺れを感じた。我が家はちょうど夕食時であったが、気がついたときには、私は一人で玄関まで逃げていた。家族に対してカッコ悪かった。しかし、祖母はいつも言っていた。「地震が来たら、いつでもすぐ自分一人で逃げろ。」と。