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高潮災害のしくみ
穏やかな日の海面は月と太陽の引力でゆっくりとその高さを変えて1日に1~2回の割合で満潮と干潮を周期的に繰り返しています。この海面の高さを天文潮位と呼びます。
一方、台風が海岸に近づいたときに海面が異常に高まり、海水が堤防を乗り越えて陸地へ流れ込み人命や建物に大きな被害をもたらすことがあります。この海面が異常に高まる現象を高潮または気象潮位と呼びます。
高潮は、次の3つの現象が重なって発生します。
- 台風の中心付近では周囲より気圧が低いため海面がもち上がります(身近な例でたとえると、ストローでコップの水を吸い上げるのと同じ現象です)。これを吸い上げ効果といいます。
- 台風に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水が運ばれて海岸に向かって海面が上昇します。これを吹き寄せ効果といいます。
- 強風で生じる大きな波浪が海岸に次々押し寄せると、海水が沖に戻り難くなって海岸付近に溜まり海面が上昇します。
高潮はいつも天文潮位と重ね合って生じるので、もし満潮時に大きな高潮が起きたときには海面は著しく上昇して非常に危険な状態になります。
歴史を学んで防災!?
高潮から私たち自身を守るには日頃からの災害に対する備えが不可欠です。
このためには、自宅や通勤・通学する地域が過去にどのような被害を受けたかを確認することです。
危険性の高い地域では、家族全員で災害時の連絡をどのように取るのか、避難場所をどこに選ぶのかをハザードマップで決めた上で、実際に避難路を歩いて川や側溝などの危険な場所を確認することが大切です。
難しいことは“いつ避難するか”です。まだ大丈夫と思っていても暴風雨による停電、道路寸断などが生じて避難が困難になることがあります。
安全に避難するには、市町村からの避難の指示がなくても、テレビ・ラジオなどの台風情報や高潮情報に注意を払って、早めに自主的に決断しなければなりません。
過去の高潮災害で避難が遅れた理由は「自宅が被害にあうとは思わなかった」、「気づいたときには浸水のため外に出られなかった」が多数を占めました。
人は災害に直面すると適切な判断ができないため、冷静に避難するには上で述べたことを自主的に準備しておくことが大切になります。