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活火山ってどんな山?
あなたは、活火山がどういう山のことか知っていますか?
現在多くの国で、「過去1万年以内に噴火したか、現在噴気活動が認められる火山」のことを活火山とよんでいます。
そのような活火山が、日本には110あり、そのうち北海道には北方領土を除いて20の活火山があります。
火山災害とは?
火山災害は火山活動が原因で引き起こされる災害なので、当たり前のことですが、身近に火山がないと起きない災害です。
現在、北海道には20の活火山があり、あなたの住んでいる地域が火山噴火の影響を受けるか調べることが、火山災害に備える第一歩です。
もし、影響を受ける地域であれば、その火山の防災マップを見てみてください。その火山の防災マップには、過去の噴火実績を参考にして噴火の規模を想定した上で、火山災害が発生する可能性のある範囲が示されています。
火山噴火でなにが起こる?
火山が噴火すると、さまざまな現象が起こります。そして、その現象によって色々な災害が起こるのです。
ここでは、火山災害で発生する可能性がある現象を、それぞれ個別に見てみることにしましょう。
火砕流と火砕サージ
粉々に壊れたマグマとそこから分離した火山ガスとが一緒に火口から流れ下る現象を火砕流といいます。火砕流は500℃を超える高温で、時速100kmを超えることがあります。
火砕流から細かな礫や火山灰と火山ガスだけが更に遠くまで流れ広がるのが火砕サージです。
火砕流や火砕サージにより樹木や建物は倒壊し、炎上してしまいます。有珠山の1822年噴火では火砕サージによって103名が犠牲となりました。火砕流・火砕サージが発生してから脱出するのは不可能です。
岩屑なだれ
火山活動に伴って、あるいは火山直下で発生した地震が引き金になって火山体上部の不安定な部分が山麓までなだれのように崩れ落ちる現象を岩屑なだれ、あるいは山体崩壊といいます。
山体は、崩れ落ち始めると急に荷重がへるために爆発して火砕サージに似た爆風が周囲に広がることもあります。また、岩屑なだれが水域に突入すると火山性の津波を引き起こすこともあります。
北海道では1640年に北海道駒ケ岳で、1741年に渡島大島で岩屑なだれが発生しています。岩屑なだれも巻き込まれたら助かりません。
火山泥流
様々な大きさの火山噴出物の破片が水と一緒に流される現象が火山泥流です。
北海道では三浦綾子の小説「泥流地帯」の題材になった1926年十勝岳の火山泥流がよく知られています。積雪期に噴火して高温の噴出物が雪を溶かしたために発生したこの火山泥流(融雪型泥流)では141名が犠牲となりました。
1977-78年の有珠山の噴火では、降り積もった軽石や火山灰などで山腹が覆われたために雨水がしみ込みにくくなり、大雨が降った際に火山泥流(降雨型泥流)が発生しました。
2000年の有珠山噴火では上昇してきたマグマの熱と圧力で火山体の中の地下水が沸騰状態となり、火口から直接噴き出して火山泥流(火口噴出型泥流)が発生しました。
このように火山泥流の発生原因は多様ですが、洪水と同じく低いところに向かって流れますから、発生に気が付いたら高台に避難すれば助かります。土石流と呼ばれる現象の中には大雨が引き金となった火山泥流も含まれています。
火山性津波
火砕流や岩屑なだれが急に海や湖水に突入したときや、水底に火口ができる噴火が起こったとき、水が急に移動するので津波が発生します。
噴石
噴火が始まり新たに火口を作るとき、地下にあった硬い岩をこわして放出し、火口の近くに落ちてくるものを噴石といいます。噴石の直撃を受けると、建物は破壊されてしまいます。
降灰
上空高く吹き上げられた火山灰が風に流されながら降ってくるのが降灰です。
降灰があっても生命の危険はないので避難する必要はありません。しかし、降灰のために視界がかすんでいるような状況で暮らしていると眼や呼吸器を痛めてしまうのでマスクやゴーグルで防護する必要があります。
様々なところで使われている電子機器の隙間から細かな火山灰が内部に侵入して電子回路が誤動作を引き起こす可能性があります。噴火の規模が大きく噴煙が成層圏まで達するような噴火ではジェット機の飛行に支障が生じて運行停止になることがあります。
地殻変動
地殻変動は様々な規模と時間スケールの大地の変動を含んだ用語です。
火山活動に伴い災害を引き起こすような地殻変動は粘り気の大きなマグマの上昇に伴って発生します。地面が隆起するとともに、引き伸ばされて段差(断層)ができたり傾いたりし、周囲では押し縮められる変形も発生することがあります。
有珠山では、山麓噴火がおこると顕著に地殻変動が発生します。
溶岩流
溶岩流の流れやすさはマグマの化学組成により決まっているので、それぞれの火山で溶岩が火口から出てきたときにどれほどの速さで流れるのかは予測ができています。
殆どの溶岩流は流速が遅いので人々は避難できます。しかし、建物や道路は被災してしまいます。
火山ガス
火山には特有の大気より重い火山ガスが出ている場所があります。
刺激臭が強く僅かに青みがかった二酸化硫黄や卵が腐ったような臭いの硫化水素は、臭いで危険を察知することができます。しかしながら、二酸化炭素(炭酸ガス)は無色無臭であるため、気が付かずにいると大変危険です。火山で窪みに昆虫や鳥の死骸があったら近づかないようにしましょう。